眠りながら飛ぶ鳥ハリオアマツバメ

 ハリオアマツバメは、体長約21cm、羽を広げると約50cmもあるアマツバメの仲間です。町内にも生息している普通の小型のツバメであるイワツバメやショウドウツバメなどとは異なり、非常にずんぐりとした胴体と鎌のような形をした長い羽を持つ、羽ばたきの幅が非常に小さい(滑空しているだけにも見える)ツバメの仲間です。ちょうど、シャチに翼を付けたような鳥です。

 日本全国で見られる夏鳥ですが、そのほとんどが北海道や本州の高山帯に生息し、岩壁の割れ目や樹洞で繁殖しています。冬にはオーストラリア方面にまで渡って越冬します。

 町内に生息するアマツバメの仲間にはもう1種アマツバメがいますが、ハリオアマツバメの方が明らかに大きく、また尾羽の形がアマツバメが燕尾(V字に深く切れ込んでいる)であるのに対し、ハリオアマツバメの方は尾羽が短く、羽軸が少しはみ出したような特徴的な形をしています。またハリオアマツバメが背が淡色に見えるのに対し、アマツバメは腰に白い部分があります。

 この2種は、日本の野鳥の中でも一番速く飛ぶ鳥の仲間で、ハリオアマツバメの方が高速で飛行します。なおかつ両種とも繁殖以外でほとんど地上に降りることがない鳥です。日中は、他のツバメと同様に非常に大きな口で飛行しながら虫などを捕らえ、水を飲むときも飛行しながら、夜眠るときでさえ上空で低速で飛行しながら寝ています。まさに飛ぶためにだけ進化したような鳥です。

 厚岸町は実はこのハリオアマツバメの非常によく見られる地域の一つです。町中上空で見られるアマツバメの仲間はほとんどがアマツバメの方で、ハリオアマツバメは厚岸湖上空、又は厚岸湖を取りまく道有林上空でよく見かけます。おそらく道有林内で繁殖しているものと思われます。糸魚沢駅裏の林道で、天候と虫の関係で非常に低く飛んでいるハリオアマツバメに出くわすことがありますが、人間をあまり気にすることもなく、顔の2〜3mほどの距離をスポーツ車の最高速近いスピードで風を切る音を出しながら通り過ぎていきますのでその迫力はすさまじいものです。飛ぶときに風切音が聞こえるのもこの鳥の特徴です。ふだんは上空を2羽か、それ以上の集まりで飛行していることが多く、飛行時に他のツバメとよく似たジュルル、ジュルルという鳴き声で飛んでいるはずです。

 これから続々とツバメの仲間が遥か南半球などから渡来してきますが、その中でもひときわ大きいハリオアマツバメはどれか、探して見ませんか?