水鳥観察館だより「別寒辺牛」

☆「厚岸湖・別寒辺牛湿原学術研究補助金」の趣旨☆

 湿原は、水質を浄化したり保水・洪水調節機能を持つとともに、野生生物の生息地・漁業資源形成にも大きな役割をはたしているといわれ、私たちの生活に恩恵をもたらしています。このような環境を維持していくためには「ワイズユース(賢明な利用)」を永続的なものにする必要があり、それには、湿地やその周辺環境の学術調査が欠かせません。
 そこで、この分野の専門的知識を持った学生や研究者の方々の学術研究を支援し、ネットワークを広げるなかで基礎的学術資料の蓄積を図ろうとしたものです。

平成14年度厚岸湖・別寒辺牛湿原学術研究奨励補助金内定者

( 新 規 )
◇ エコ・ユリアント  北海道大学大学院地球環境科学研究科
   「湿原泥炭地における火山灰層の堆積ならびに流域環境の変化の影響について」
◇ 藤谷 俊仁  大阪府立大学大学院農学生命科学研究科応用昆虫学
   「別寒辺牛湿原とその周辺河川におけるコカゲロウ科の分類学的検討と種組成の解明」
◇ 近藤 憲久  道東コウモリ研究会   「厚岸町のコウモリ相」
◇ 志波 敬 千葉県立実籾高等学校「厚岸湖・別寒辺牛湿原周囲の 地衣類の分類学的研究」
◇ 諏訪 竜夫  北海道大学大学院経済学研究科 
        「別寒辺牛湿原の ワイズユースに関する経済学的研究」
◇ 滝田 謙譲  「厚岸湖畔の植生調査及び厚岸町の現存植生について」
◇ 山口 成能  東京大学海洋研究所海洋生態系動態部門底生生物分野
          「別寒辺牛湿原に生息する淡水性貝形虫類(甲殻類)の分類学的研究」

( 継 続 

◇ 堀  正和  北海道大学大学院水産学研究科多様性生物学講座
          「 鳥を頂点とした厚岸湖生物群集の食物網構造に関する研究」
◇ 北村 武文  北海道大学大学院水産学研究科育種生物学講座
          「 厚岸産トゲウオ類5種における生活史進化と多様性創出に関する研究」
◇ 中谷 正彦  釧路昆虫同好会    
          「別寒辺牛湿原の高層湿原域における高山蛾相及び昆虫相の解明。」
◇ 沢井 祐紀  国際日本文化研究センター
          「厚岸湖湖岸塩性湿地表層における植物遺骸の移動に関する研究」
◇ 志賀 直信  北海道大学大学院水産学研究科
          「 厚岸湖における植物プランクトン群集の季節変化」

調査風景

 助成金制度は平成9年度に創設し、例年 12月から4月まで募集をしています。補助対象研究は、厚岸湖・別寒辺牛湿原及び厚岸町の自然環境を対象とする自然科学分野の研究、厚岸町の自然と漁業資源・酪農問題の関連を明らかにする社会、人文科学分野の研究を対象としています。
 対象者は自然保護に関心のある研究者、自然愛好者などです。
 興味のある方は、水鳥観察館までご連絡下さい。

 このほか、「あやめヶ原における植物変動モデルの構築」をテーマとして調査を行うことになった独立行政法人農業技術研究機構九州沖縄農業研究センターの小路 敦 氏を含めた、助成金受給者の調査・研究活動を直接支援するサポーターを募集しております。
 サポーターが調査の支援を行うことによって研究者は限られた期間の中で効率よく調査を行うことができ、より深い研究を行うことができるようになると思われます。
 また、支援に参加することで貴重な厚岸の自然に親しむこともできますのでぜひご参加、ご協力いただきますようお願いします。

◇コウモリ調査  
 5月25日 16時30分〜20時30分位まで(これ以降も調査は行っております)
 調 査 場 所  : 大別川橋付近(道道上風蓮大別線)
 集 合 場 所  : 役場 16時30分
 服装・持ち物 : 懐中電灯、長靴
 雨天の場合はその翌日に行います。
 申し込み方法 :電話で水鳥観察館までご連絡下さい。

また、後に アオサギの営巣数調査、トゲウオ(トンギョ)調査などをする予定です。
詳しくは、厚岸水鳥観察館まで電話でご連絡下さい。

5月から6月にかけて厚岸でみられる鳥たち

◇森林の鳥◇

トビ、オジロワシ、ハイタカ、エゾライチョウ、カッコウ、ツツドリ、キジバト、クマゲラ、ヤマゲラ、アカゲラ、コゲラ、ビンズイ、ミソサザイ、コマドリ、ルリビタキ、コルリ、トラツグミ、アカハラ、エゾムシクイ、ウグイス、キクイタダキ、エゾセンニュウ、キビタキ、ハシブトガラ、ヒガラ、シジュウカラ、エナガ、ゴジュウカラ、キバシリ、カワラヒワ、ウソ、カケス、ハシブトガラス、ハシボソガラス、ヤマシギなど

ルリビタキ ルリビタキ
全長約14cmで、オス成鳥の上面るり色があざやかな美しい小鳥です。森林性で昆虫を食べます。
「ヒッヒ ヒョロリ ヒョロ ヒョロ」とさえずり、樹の根本や岩のすき間などに枝やコケ類、獣毛などで巣を作ります。

◇水辺・湿原の鳥◇

カワセミ、ハリオアマツバメ、アマツバメ、ショウドウツバメ、イワツバメ、ノゴマ、ノビタキ、センダイムシクイ、コヨシキリ、シマセンニュウ、アオジ、オオジュリン、ベニマシコ、カイツブリ、ダイサギ、アオサギ、タンチョウ、オオハクチョウ、マガモ、オシドリ、カワアイサ、オオジシギ、ユリカモメ、オオセグロカゴメ、ユリカモメなど

アオサギ
アオサギ
 全長約90〜98cmで日本のサギ類としては最大の種です。全身が青色で主に魚を捕らえて食べます。飛んでいるときに「グワッ」 「ゴー」と大きな声を出すことがあります。マツ林などの木の上に巣を作り、集団でコロニーを作ります。

タンチョウのヒナ生まれる

イベント情報

「別寒辺牛湿原講座 「トンギョの宝庫・別寒辺牛湿原のお魚たち」
           講師 北海道大学水産学研究科 北村武文・久米 学

厚岸湖と別寒辺牛川に多く生息するトンギョ(トゲウオ)について長年厚岸で調査研究している北大水産学研究科のグループに説明していただき、実際に河川で魚類調査も行います。

6月16日(日)午後1時30分から午後3時30分まで
会場:厚岸水鳥観察館及び大別川  (注:交通手段のない方は当観察館まで連絡を。)
募集人数:30人
持ち物:長靴持参で
申し込み方法:電話で厚岸水鳥観察館へ TEL(0153)52-5988

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「「水辺林を目指した森林造成」および「野鳥観察会」

森林センター共同主催で造林地の手入れを行いながら野鳥を観察します。

6月22日(土)午後9時30分から2時00分まで
集合場所:役場(車で来られない湘南地区の方は福祉センター集合、解散で送迎します。)
観察場所:別寒辺牛地区
募集人数:30名
服装:歩きやすい服装と靴で
持ち物 :双眼鏡、図鑑など(貸出用双眼鏡と図鑑あり)
申し込み方法:電話で水鳥観察館 又は
          森林センター TEL 0153-52-6823 までご連絡下さい。

厚岸水鳥観察館