水鳥観察館だより「別寒辺牛」


 来たる10月16日(水)午前9時、水鳥観察館設置カメラにて今年初めてオオハクチョウの飛来を確認しました。午前9時の時点では、成鳥2羽・幼鳥6羽・若鳥1羽の1家族を確認。その後、午後には141羽の群に増加。11月20日現在では、
約4,000羽のオオハクチョウが別寒辺牛川・厚岸湖で羽を休めています。水鳥館の展望室からその様子が観察できますので、皆さん、見にいらして下さいね。


 厚岸に飛来してくるハクチョウの内99パーセントが「オオハクチョウ」です。体重は8〜12キログラム、羽を広げると2メートル50センチにもなり、主に厚岸湖内ではアマモ、別寒辺牛川内ではコアマモなどの水草を食べています。
 くちばしの黄色い部分の先がとがっているのが特徴。毎年、10月中頃にロシアの極東地域から厚岸に渡って来ます。英名では「フーパースワン」といいます。フーパーとはうるさいヤツという意味があり、オオハクチョウはグワッ、グワッとひっきりなしに鳴くのでこのように名付けられたようです。


 平成14年度厚岸湖・別寒辺牛湿原学術研究奨励補助研究助成金を受けて、道東コウモリ研究会の近藤憲久氏による「コウモリ調査」が平成14年5月から厚岸町内各地で行われてきましたが、無事10月12日をもって終了しました。
 コウモリ調査は一つの調査区に、捕獲用の網を3、4張りの設置しなければならず、数多くのボランティアの方たちに調査のサポートをしていただきました。お手伝いに来てくださった皆様、大変ありがとうございました。

「厚岸町のコウモリ類」

近藤 憲久

2002年に、厚岸町から「厚岸湖・別寒辺牛湿原学術研究奨励補助金」を受けて、コウモリ調査を行った。厚岸町で本格的に行うのは初めてであり、水鳥観察館職員を始め厚岸町民に捕獲に際し多大なるお世話になった。感謝したい。
 コウモリ調査は、カスミ網を張ってしまうとあとは「ジッ」と掛かるのを待つだけである。そのため、網の張り方が肝心で、予備調査を愚かにするとゼロと言う場合もありうる。森林でも水面でもコウモリは超音波を使い、ただ網を張っても網の前でUターンするのでまず掛からないと思って良い。日中、及び網を掛けない時でも、掛かりそうな所を探しにひたすら車で回った。カーブや沢沿いで天蓋があって、5間、3間の網が張れる所を選び、また、水面では、障害物がある所を選び、そこに網を張った。
 カスミ網は、延べ14日間、15地点で行った。その結果、14地点で、9種140頭捕獲された(1頭は手捕り)。水面では、ドーベントンコウモリ、森林では、ウサギコウモリが優先種であった。両方とも希少種であり、普通種のモモジロコウモリは、尾幌オッポロ一号橋で一頭のみが捕獲されたのみであった。
 昨年も上尾幌の尾幌川で1頭のみが捕獲されたのみであり、何でいないのか、あるいはねぐらを外した所で調査したのか、これからの調査を待ちたい。
 厚岸町では、北部がカラマツ主体の国有林、南部が植栽を伴った天然林の道有林、西部が日本製紙の社有林で過去に伐採がある天然林、それと太田地区の防風林があり、4地区で比較してみた。結果は、それぞれに個体数が多く捕れ、比較データとしては、まとまらなかったことである。特に、日本製紙の社有林では、一日で8種27頭が捕れた。また、カラマツ林と天然林の比較でも、良い結果が出なかった(両方とも非常に良く捕れたと調査地点が少なかった)ので、来年もう一度詳しく調査して結果を出すつもりである。現段階で、厚岸町内では、厚岸町の新種、ドーベントンコウモリ、キタクビワコウモリ、テングコウモリを含め、捕獲9種と、捕獲はできなかったが、ヤマコウモリが国有林、道有林、日本製紙の社有林で確認され、合わせて10種が確認された。なお、捕獲種で、ホオヒゲsp.とあるのは、生きている段階ではヒメホオヒゲコウモリかホオヒゲコウモリかわからなくホオヒゲsp.とした(10月に富山で日本哺乳類学会があり、生きたまま放獣する時はホオヒゲsp.とする指摘があった)。

コウモリの種類 捕獲数
チチブコウモリ 13
ヒメホオヒゲコウモリ 2
ホオヒゲsp. 20
ウサギコウモリ 35
コテングコウモリ 16
キタクビワコウモリ 3
カグヤコウモリ 11
モモジロコウモリ 1
ドーベントンコウモリ 38
テングコウモリ 2
総捕獲数 141
総網枚数 65
 私もそうだったんですが、コウモリといえば、あまりイメージの良い生き物とは感じていませんでした。おおむかし?の話になりますが、小学校1年生の時、交通事故で入院していた病院には手動式の鉄格子の扉のあるエレベーターに、夜な夜な病室の天井を飛び回るコウモリがみられ、さながら妖怪の館だった記憶が焼き付いてしまっています。
 しかし今日、全国あちこちで、ちょっとしたコウモリ観察ブームになっているんですね。
 今回、根室市の近藤さんの調査に同行して、コウモリの多さにビックリ。そして、私のイメージとは全く異なった、非常に愛らしい姿に、水鳥観察館のスタッフ一同すっかりファンになってしまったのはいうまでもありません。
 実はコウモリって、自然環境を知る上で非常に重要なバロメーターになっていることも勉強させていただきました。コウモリの餌は、蛾や蝶などの昆虫です。厚岸では約10種類のコウモリが確認されましたが、その各々が異なった環境に住んでおり、また食べる昆虫も少しずつ異なっています。現在調査されている地点で、この10種類という記録は道内でも多い部類にはいるということ。そして、これらコウモリが高密度に生息している、ということは、厚岸の森林環境が生物の多様性に富んでいる、簡単にいうと、いろんな生き物の住みやすい環境である、ということの証でもあります。
 来年もコウモリの調査を行う予定ですが、厚岸の水辺を支えているこの森林のもう一つの顔である、ちょっと変わった哺乳類コウモリを、皆さん大切にしていきましょうね。   (しぶ)


今年は大幅に応募者数が増加!去年の約5倍にあたる総計4,551件の応募がありました。そのうち、初飛来日である「10月16日」を予想したのは343名。抽選の結果、以下の方々が各賞に当選されました。

、ドンピシャ賞殻付き、 (記念品と牡蛎・かきしょうゆセット)
 大草 俊一 さん  釧路市
 久保 光雄 さん  厚岸町
 畑山 香代 さん  東京都

、コンキリエ特別賞、 (コンキリエお食事券 3、000円分)
 石澤 正夫さん  厚岸町
 南條 美香さん  札幌市

、おしかったで賞、 (殻付き牡蛎)
 本間 由希子さん 釧路市
 丹野 正喜さん  厚岸町
 黒沢 正実さん  茨城県
 岡本 久子さん  京都府
 屋富祖 正美さん 沖縄県


イベント情報

「野鳥観察会  毎月1回野鳥観察会を開催しています。
 
 12月はチカラコタンなどから渡りの最盛期でオオハクチョウや他のカモ類を観察します。
  12月8日(日) 午前10時から11時まで
  会 場:厚岸湖チカラコタン

 1月は日本野鳥の会釧路支部が毎年行っている全国一斉水鳥調査に協力いたします。
 場所は港町の裏浜からチカラコタンまで。水鳥を観察しながら調査を行います。
 この時期にはロシアの極東地域から渡ってきたオジロワシ・オオワシも多数見ることが出来ますので、気軽に参加してください。
 1月13日(月)成人の日 午前10時から正午までを予定
  会 場:港町裏浜からチカラコタン付近
 
   参加定員:各20名   集合場所:厚岸町役場駐車場
   持ち物 :双眼鏡など 服装:防寒対策  雨天中止
   申し込み方法 ヌ 電話で水鳥観察館までご連絡下さい。
                 (住所・氏名・年齢・電話番号)

厚岸水鳥観察館